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承認欲求の考察

承認欲求をキーワードに、人間心理や社会を考察します。

同調圧力 その3 回避する方法

同調圧力

これまでなぜ同調したがるのか、なぜ他者にも同調を求めるのかを考察してきました。是非前二回を読んで下さい。これを理解すれば同調圧力のかけ方は容易に導き出すことができます。

同調圧力の掛け方は以下の7つです。典型的なせりふを挙げます。
1 仲間だろ?
2 クラス全員が先生に怒られるよ
3 あなたのためだから
4 みんなやってるよ、どうして君だけわがままなの?
5 お前のせいで混乱するじゃないか
6 自分だけずるい
7 同じようにできないなら出ていけ

1は親密さを餌にした同調圧力です。家族内や若者の集団でよく用いられます。同調しないことを仲間に対する裏切りだと感じさせようとします。

2は権威や外部者を持ち出して連帯責任を匂わせることで、罪悪感を持たせようとします。例えばサービス残業の圧力をかけるときに用いられる「競合他社に負けていいのか」という脅しもこれに該当します。

3は親切を装った圧力です。自分のことを思って言ってくれたのに従わないのは申し訳ないと感じさせることにより同調を促します。

4は人と同じように振る舞えないお前はOKではないと人格を否定する脅しです。

5は集団の秩序を乱すことに罪悪感を持たせようとする試みです。

6は同調しないことが抜けがけ、裏切り行為であるかのように感じさせ罪悪感を持たせます。

7は集団に残るためには同調しかないと思わせるための脅しです。

同調圧力は集団としてのアイデンティティと集団内の人との情緒的な繋がりをテコにして、同調を強制します。
圧力の強度は集団の膜の強固さに比例します。人の出入りが激しい集団だと「みんな」対「あなた」という構図自体が成立せず、また膜外に追放されることは恐怖になりません。逆に言えば遠ざけたり無視することが避けられないからこそ、自分の信をつらぬくのに不都合な他者の見解を変えたくなります。
都会よりも田舎の方が同調圧力が強いことは周知の通りです。

以上の考察を元に、その圧力から逃れる方法を考えてみましょう。三つのポイントがあります。

ひとつめはグループとしてのアイデンティティを持たないことです。ここで注意が必要なのは集団に所属することと、その集団についてアイデンティティを持つことは別であるということです。多くの人は同調しないと集団から離れなければいけないと思いがちですが、同調せず孤立してでも集団内に残ることも選択肢のひとつです。

ふたつめは罪悪感を持たないことです。相手に罪悪感を持たせようとすることは、承認欲求の呪縛の一つです。承認欲求のメカニズムを理解することでこれを避けることができます。

三つめは論拠を求めることです。上記の7つの同調圧力のかけ方はすべて情緒に訴えるものです。そもそも同じ振る舞いをすべき明確な根拠が存在するのならば、同調圧力は生じません。これこれの理由でこう振る舞って下さいと明示できるからです。またその場合は強制力をもつものか単なるお願いなのかの判別も容易です。
7の出ていけというのは強制のように見えますが、法的根拠がなければ単なる脅しにすぎません。
クールに論理的に振る舞うことにより、情緒に訴えて罪悪感を引き出そうとする試みが通用しないことを示すことが可能です。

但し同調圧力が効を奏しないことが、圧力に晒された人の安心に結びつくかどうかは別問題です。相手が同調させることを諦めない場合や、同調しない人を逆恨みする場合もあるからです。その場合は警察や弁護士などの介入を求めたり、集団や個人から離れる以外に方法がないかもしれません。

次回に続きます。

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