承認欲求の考察

承認欲求をキーワードに、人間心理や社会を考察します。

人工知能と承認欲求 その1

マイクロソフトがリリースしたAI(人工知能)ボットTayが不適切な発言を繰り返し同日中に公開停止になったというニュースがありました。 詳しい記事は例えばこちらです。 wired.jpTayに関しては失敗となりましたが、成功か失敗かの判断はそのプロジェクトが…

東日本大震災から五年 その2

このブログでは承認欲求を自分はOKであると信じたいことだと定義しています。そこで承認欲求を生む土壌である「こうするべきだ、そうしないオマエは駄目な奴だ」という呪縛に注目して、その意味を問い直す試みをしています。意欲がなくエネルギーを注がない…

東日本大震災から五年 その1

東日本大震災から五年が経過しました。この五年の間に、なぜこれほど話が通じないのだろうと愕然とした人や、頑張ろうの掛け声の陰で居心地の悪い思いをした人も居ることと思います。 前回の努力しない状態に関する考察を基にして、震災を振り返ってみましょ…

努力しないことは悪か

前回は努力することを単純に善だと言い切ることはできないという結論に達しました。今回は努力しない状態について考察します。努力とは自発的に力を入れるのではなく、仕方なく力を入れることだと前回定義しました。これを図示してみましょう。 説明の便宜の…

努力することは善か

努力することは善であると考える人は少なくありません。努力しなかった人に不幸が訪れると他者はしばしば「自己責任だ!」と非難し、幸運が訪れると今度は「ずるい!」と嫉妬します。そもそも努力とは何でしょうか。努という漢字は奴と力の組み合わせで、奴は…

自己責任について その2

前回は自己責任という概念が拡大解釈されるときに、しばしば責任と因果関係の混同があることを述べました。 またすぐに「自己責任だ!」といいたくなる原因のひとつは、箱の中の箱という捉え方により自分の属性が非難されているかのように感じることだと述べ…

自己責任について その1

前回は「私」という箱を一時的に解体する手法として瞑想を紹介しました。 箱の解体というのは誤解を招きやすい表現だったかもしれません。これは自分が消えて無くなるという意味ではなく、自分という枠を忘却するという意味です。お前はだめな人間だという呪…

箱の解体手法としての瞑想

前回個々の状況や感覚を重視することが、キャラクターを演じるストレスから解放する方法であると述べました。以前承認欲求がない状態について考察したときも、同様のことを述べました。 一時的に箱を解体して個々の感覚に立ち戻ることを可能にする手法として…

アイデンティティとは何か その4

前回はアイデンティティとキャラクターの関係について述べました。 キャラクターは自分から望んで演じるものとは限りません。私たちはしばしばこう振る舞うべきだとモデルを押し付けられます。例えば子供の頃から「子供らしくない」と非難されたり、「おみや…

アイデンティティとは何か その3

アイデンティティと似た言葉にキャラクターがあります。「キャラが被る」「キャラを替える」など短縮化して使用されることからも分かるように、若者にはアイデンティティよりもずっと馴染みがある言葉です。キャラクターとアイデンティティはどのような関係…

アイデンティティとは何か その2

アイデンティティという言葉は個人だけではなく集団にも使用されます。家族のアイデンティティについて考えてみましょう。夫婦や親子の関係は年を重ねるにつれ変化します。子供が生まれたり、独立したりとメンバーの変更もあります。住む家の引っ越しもあり…

アイデンティティとは何か その1

前回狂信について、アイデンティティが鍵であることを考察しました。アイデンティティについて整理しておきましょう。アイデンティティは広義には同一性、一致を意味します。例えばアイデンティティカードは身分証明書のことですが、これは同一人物であるこ…

どうして狂信的になるのか その2

宗教には実存の問いを投げかける対象としての役割とアイデンティティとしての役割があると前回述べました。 実存の問いがすっかり抜け落ちて、アイデンティティのみの宗教が存在します。例えば「もうすぐ世界の終わりがやってくるが信者だけは助かる」とか、…

どうして狂信的になるのか その1

前回信じることを決意するというのは宗教的な信仰の核心だと書きました。しかし信仰と言えばオウム真理教やイスラム自爆テロなど理解不能な行動をとる狂信者というイメージを持つ人も多いでしょう。今回から数回にわたってどうして狂信的になるのかについて…

信仰の核心

前々回からの続きです。信じるということに関して七つの状態を挙げました。心から信じることやその信が疑いに変わることは「為す」ことではなく「生じる」ことです。 それは恋愛に似ています。好きになることも嫌いになることも生じることです。きっかけが存…

おっぱい募金と思考実験

信じることに関わる様々な状態から宗教の話に進む予定でしたが、一旦中断して今回は話題になっているおっぱい募金について述べます。前々回までの建前と本音に関する考察の補完となりますので、未読の方はまずこちらをご覧下さい。おっぱい募金はエロは地球…

信じるということ

今回は信じるということについて考察しましょう。「信」は承認欲求の重要なキーワードのひとつです。 信じる対象ではなく心理的な状態に注目して分類すると以下のようになります。1 心から信じている状態 本人にとってはそれは事実であるため「知っている」…

建前と本音 その3

前回は建前と本音の対立をみんなという大箱の中の小箱の争いというモデルで説明しました。 インターネットは匿名の発言が容易なために人々の本音が分かりやすい場です。本音を言いにくい社会ほど、ネット上では匿名で本音を言うことが正しいのだと感じる人は…

建前と本音 その2

前回ヘイトスピーチや暴言を例に挙げましたが、私の関心ははその種の行為の批判ではありません。考察したいのはその背後にある「みんな」という大きな括りと建前と本音という分離です。この一見正反対な二つの組み合わせは、ヘイトスピーチや暴言だけではな…

建前と本音 その1

社会的に重要な地位にある人の暴言がしばしば話題になります。ヘイトスピーチに対して「よくぞ本音を言った」と好意的に受け止める人達が一定数存在します。今回は建前と本音について考察しましょう。これまで何度も膜について言及しました。承認欲求が高い…

はじめての方へ

検索からこのブログに辿り着いて、戸惑いを感じる方は少なくないだろうと思います。そこではじめての方に向けてこのブログの歩き方をまとめてみることにしました。このブログのテーマは承認欲求です。 どうして話が通じない人がいるのか、同調圧力はどうして…

支配欲と敵の正体

前回において生身の感覚を膜で遮断されているために幸福なはずが空虚さを伴う、この空虚さがグル商人の自分はだめな人間かもしれないという感覚の正体だと述べました。承認欲求とは自分はOKであると信じたいことだとこのブログでは定義しています。言い換え…

空虚な幸福

コミュニケーションと承認欲求に関する四つの方向性についてこれまで数回にわたり考察しました。承認欲求もコミュニケーション能力も高いグル商人と名付けた極に重点を置いたのは、社会の成功者モデルとしてそれを目指す人が増えているように思うためです。…

なぜ嘘をつくのか その2

「バカ正直」「嘘も方便」という言葉の存在からは、嘘は日常生活にありふれたことのように思えます。すべての嘘は承認欲求と関係するものなのでしょうか。方便だと考えられる可能性が高い幾つかの小さな嘘を例にして考えましょう。A「今年のクリスマスパーテ…

なぜ嘘をつくのか その1

平気な顔で壮大な嘘をつく人が存在します。なぜ嘘をつくのでしょうか。

ラーメン屋のたとえ

前回からの続きです。今回は四つの方向性をラーメン屋に喩えて考えてみましょう。

マイノリティとコミュニケーション

コミュニケーション能力と承認欲求の関係について前回からの続きです。glicine394.hatenablog.com前回示した四つの先端は固定的なものではありません。現在どこに位置するかよりも、どの方向に向かっているかが重要です。誰でもヒキ学者のポジションになる可…

コミュニケーション能力と四つの方向性

これまで承認欲求の考察の中で何度もコミュニケーションに関して言及しました。そこで今回から承認欲求とコミュニケーション能力の関係について考察します。 承認欲求が強い人はコミュニケーション能力が低い、いわゆるコミュ障であるというイメージがあるか…

序列 その5 経済格差について

前回平等について言及しましたが、この言葉は非常に誤解を生じやすいものです。今回はその補足も兼ねて、格差について考察します。格差と言ってまず思い浮かべるのは経済格差です。経済的に豊かな人と貧しい人が存在します。 世の中には経済格差は全く存在す…

序列 その4 平等は絵に描いた餅か

「序列はないなんてただのキレイゴトではないか、実際は社会には序列があってみんな下に落ちないように必死で努力しているのだ」このような理屈で序列を受け入れる人が存在します。キレイゴトとは建前だけで現状はそうではないものという意味です。絵に描い…